ソフトバンクグループの無担保社債(年利3.34%・期間5年)が発売されます。個人的にはこの利回りは悪くない水準だと思っており、購入する予定です。
本記事では「社債とは?」、「どんなメリットやリスクがあるの?」、、、という方向けにわかりやすく解説しています。
※社債は元本保証ではありません。最終決定は必ずご自身の判断で行ってください
本記事は「3%超!?ソフトバンクグループ第59回無担保社債を徹底解説!」を加筆・修正したものです。
ソフトバンクグループ 第65回無担保社債
ソフトバンクグループ株式会社第65回無担保社債の概要です。
商品名 | ソフトバンクグループ株式会社 第65回無担保社債 愛称:福岡ソフトバンクホークスボンド |
---|---|
発行体 | ソフトバンクグループ株式会社 |
取得格付 | A(JCR) |
期間 | 5年 |
利率 | 年3.34%(税引前) 年2.661%(税引後) |
申し込み単位(額面) | 100万円以上、100万円単位 |
発行価格・償還価格 | 額面金額の100% |
申込期間 | 2025年4月21日から2025年5月1日まで |
払込期日(発行日) | 2025年5月2日 |
満期償還日 | 2030年5月2日 |
利払日 | 毎年5月2日及び11月2日 初回:2025年11月2日 |
発行額 | 6,000億円 ←個人向けで過去最大 |
100万円以上、100万円単位での購入となります。申し込み金額の上限金額はありません。
購入特典として「お父さん応援隊長 トラベルポーチ2点セット」 がもらえます。
この社債について簡単に解説します。
★無担保社債
元利金の支払いを確保するための特別な担保をつけていない社債です。日本では大半の社債が無担保社債です。債務不履行になった場合、額面金額や利払いは保証されません。
ただ、倒産した場合、返済順位は株式よりも債券のほうが先なので、株式よりも低リスクと言われています。
★格付け
日本格付研究所(JCR)の格付けでは「A(安定的)」となっています。日本の格付け機関にはJCRとR&Iの2社があり、JCRは甘い格付けをする傾向にあるので、JCRでAだから必ずしも安心というわけではありません。
海外の格付け機関スタンダード&プアーズ(S&P)の格付けではBB+(投資不適格級)です。
参考:ソフトバンクG格付け情報
※AAAが最も信用度が高く、B、C、Dと下がるにつれて信用度が下がる
例えば、トヨタが発行する社債の利率は0.5%前後です。トヨタのS&Pの格付けはA+(投資適格)と高く、信用力のある企業と評価されています。一般的に、格付けが高い=倒産リスクが低いと見なされるため、低い利率でも投資家が集まりやすく、企業は低コストで資金調達できます。
★円貨建て債券
債券には円貨建て(日本円)と外貨建て(日本円以外の通貨)があります。外貨建て債券は為替リスクがあります。円安になれば為替差益を得ることができますが、円高になれば為替差損を被ることになります。円貨建て債券は為替リスクがないので、決まった額の利金・償還金を受けることができます。
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私はドル建て商品などのリスク資産も保有しているので、円建ての債券や定期預金などの安全資産でリスク分散しています。
100万円購入した場合の利息は?リスクは?
『利率3.34%・期間5年のソフトバンクグループの社債を100万円分購入する』
とは、以下のことを意味します。
- ソフトバンクグループに100万円を5年間貸す
- 5年間は毎年3.34%固定の利息(5年間で約13万円)がもらえる
- ソフトバンクグループが倒産しなければ、5年後に100万円は全額返ってくる
▼100万円購入した場合の利息
支払日 | 利息(税引前) | 利息(税引後) | 元本返還 | 合計受取額(税引後) |
---|---|---|---|---|
2025年11月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2026年5月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2026年11月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2027年5月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2027年11月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2028年5月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2028年11月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2029年5月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2029年11月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 0円 | 13,307円 |
2030年5月2日 | 16,700円 | 13,307円 | 1,000,000円 | 1,013,307円 |
毎年5月2日と11月2日に利息が支払われ、最終の利払日である2030年5月2日には元本の返還も行われます。受け取れる利息の合計は133,070円(税引後)です。
▼リスク
銀行の利息に比べると数倍高いので、銀行に寝かせておくより社債のほうが魅力的に感じますが、社債は元本保証ではありません。
リスクはソフトバンクグループが倒産することです。
国債は国が発行しているので国が保証してくれますが、社債は企業が倒産して、返済能力がなければ貸したお金(社債購入額)が戻ってこない可能性があります。
また、企業の信用力がなくなると、途中で売却しようとしても買い手がつかなくて換金ができなくなります。
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私は5年以内にソフトバンクグループ倒産の可能性は低いと思っているので購入予定です。
過去のソフトバンクグループ社債
個人投資家向けに発行されたソフトバンクグループの社債です。
回号 | 発行日 | 償還日 | 期間 | 利率(税引前) | 発行総額 |
---|---|---|---|---|---|
第53回 | 2018年6月20日 | 2024年6月14日 | 約6年 | 年1.57% | 約4,100億円 |
第55回 | 2019年4月26日 | 2025年4月25日 | 約6年 | 年1.64% | 5,000億円 |
第56回 | 2019年9月20日 | 2026年9月17日 | 7年 | 年1.38% | 4,000億円 |
第58回 | 2022年12月16日 | 2029年12月14日 | 7年 | 年2.84% | 3,850億円 |
第59回 | 2024年3月15日 | 2031年3月14日 | 7年 | 年3.04% | 5,500億円 |
第63回 | 2024年6月14日 | 2031年6月13日 | 7年 | 年3.03% | 約5,500億円 |
第64回 | 2024年12月11日 | 2031年12月11日 | 7年 | 年3.15% | 約3,500億円 |
第65回 | 2025年5月2日 | 2030年5月2日 | 5年 | 年3.34% | 約6,000億円 |
2024年以降の社債は利率がいずれも 3%超。ただし、期間はすべて 7年と長めでした。今回の第65回債は5年と短めながら、利率3.34%と過去最高水準です。
個人的には、ソフトバンクグループは今後5年間は問題ないと見ているため、円建てでこの金利水準なら購入したいと感じています。
定期預金との比較
ソフトバンクグループ社債 | 定期預金 | |
---|---|---|
利率(税引前) | 3.34% | ・メガバンク5年もの:0.40% ・ネット銀行:1~1.30% |
元本保証 | なし(信用リスクあり) | あり(預金保険制度により1,000万円まで保護) |
最低申込金額 | 100万円以上(100万円単位) | 1円~(銀行による) |
利払い方法 | 年2回(5月・11月) | 満期時に一括支払いが多い |
中途解約 | 原則不可(途中売却は可能) ※中途売却は元本割れの可能性あり | 可能(利率が下がる) ※中途解約して元本割れしない |
ソフトバンク社債は利回りは高めですが、元本保証がなく信用リスクがあります。一方、定期預金は金利は低めですが元本保証があります。ネット銀行やキャンペーンを活用することで、年1%以上の金利がつく定期預金もあります(2025年4月時点)。絶対に元本保証がよい方は定期預金を利用するのが無難です。
参考記事:定期預金金利の高い銀行!新規口座開設者キャンペーンも高金利
【実例】満期になったソフトバンクグループ社債
社債を満期まで保有するとどうなるか…?
→ 元金を受け取ることができます。
下記画像はSBI証券で買った「ソフトバンク株式会社第45回無担保社債/利率1.45%、5年」を満期まで保有したときの利息と償還金の受け取り明細です。

200万円分購入して、5年後に元本200万円が戻ってきました。5年間(2014年~2019年)で受け取った利息の合計は115,550円です。
ちなみに、この時代の定期預金金利は0.03~0.04%程度だったため、200万円を定期預金に預けても、5年間で得られる利息は約3,000円程度でした。
【実例】保有中のソフトバンクグループ社債の利息
私は昔からソフトバンクグループ社債をかなり購入しており、現在も大量保有中です(笑)。数年前にはソフトバンクグループの社債はジャンク債扱いされていましたが、そのときも買っていました…。
約2年前に発行された『ソフトバンクグループ第58回無担保社債』を例に、実際に受け取った利息を紹介します。
▼第58回無担保社債(2.84%・7年)
2022年12月に100万円購入しました。

利息は毎年2回(6月と12月)支払われます。
これまでに合計45,264円(11,316円×4回)の利息を受け取りました。

株の配当金は業績によって変動しますが、社債の利息は必ず半年に1回決まった額がもらえます。
100万円が5年間拘束されますが、毎年22,632円(11,316×2回)の利息をもらえて、満期なれば元本100万円が戻ってきます。
※ソフトバンクグループが倒産した場合は額面金額や利払いが支払われないリスクがあります
【実例】社債を途中売却した場合の売却額は?
社債を途中売却する場合は時価での取引になり、一般的に、売却価格は下記の影響を受けます。
- 金利の動向:金利が上がると債券価格は下がり、金利が下がると債券価格は上がる
- 発行体企業の信用状況:企業の業績悪化などで信用リスクが高まると、債券価格は下落
- 残存期間:満期が近づくと、価格は額面に近づく
※SBI証券など多くのネット証券では、売却手数料は無料
通常、売却価格(買い取り価格)は市場価格より低めに設定されています。
私がSBI証券で保有しているソフトバンクグループの社債を例に解説します。2025年4月19日時点でいくらで売却できるかやってみました。
下記2つの社債はどちらもソフトバンクグループの7年の無担保社債で、ともに額面100万円です。売却単価は98.11と92.88と結構異なります。


同じソフトバンクグループの社債でも売却単価に差が出るのは、主に「残存期間」の違いによるものです。
それぞれの社債の概要は下記の通りです。
第56回(2019年発行) | 第63回(2024年発行) | |
---|---|---|
発行日 | 2019年9月20日 | 2024年6月14日 |
利率 (税引前) | 年1.380% | 年3.030% |
償還日 | 2026年09月17日 | 2031年6月13日 |
残存期間(2025年4月時点) | 約1年5ヵ月 | 約6年2ヵ月 |
売却単価(額面100%に対しての価格) | 98.11 | 92.88 |
売却した場合の受取金額 | 981,100円+経過利子 | 928,800円+経過利子 |
一般的に、満期が近づくにつれて社債の価格は額面(償還金額)に近づく傾向があります。上記例では残り1年ちょっとの社債は額面金額に近づいています。
また、企業の信用力が大きく低下すると、社債を途中で売却しようとしても、買い手がつかず売却できない可能性もあります。特に、業績悪化や倒産懸念が出た場合は、市場での取引自体が非常に少なくなったり、極端に安い価格でしか売れなくなったりすることもあります。
ソフトバンクグループ社債の買い方
ソフトバンクグループの社債は証券会社で購入可能です。大和証券、野村證券などの大手証券会社のほか、SBI証券や楽天証券などのネット証券でも購入可能です。価格はどの証券会社で買っても同じです(手数料はかかりません)。
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私はSBI証券で購入予定です!
申込期間は4/21(月)~ 5/1(木)となっていますが、早くに売り切れてしまう可能性が高いので初日の発売直後に購入するのが確実です。
まとめ:ソフトバンクグループ社債はこんな人におすすめ
最終決定は自己判断でお願いします。
- ソフトバンクグループが5年以内に倒産しないと思っている
- 余裕資産がある(途中売却はしないのが原則)
- 株など高リスク投資は避けたいが、銀行よりも高金利で預けたい
- 為替リスクをとりたくない(円建てなので為替に影響されない)
社債は満期まで保有しないと元本は保証されません。また、ソフトバンクグループが倒産したら元本は戻って来ない可能性もあります。
満期は5年とそこそこ長いので、その間に資金が必要となって満期前に売却した場合は元本割れになる可能性があります。そのため、満期まで保有するのが前提で購入するのがよいと思います。
『5年間資金が拘束されてもよく、ソフトバンクグループ倒産のリスクを許容でき、銀行よりは高金利に預けたい、資産の一部に取り入れて分散投資したい』と考える人は購入してもよいと思います。
これが割に合うかどうかは保有資産や投資スタイルによるので、不安を感じるのであればやめたほうがよいでしょう。
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投資はメンタルも重要な要素です!
固定金利の類似商品
ソフトバンクグループの社債と類似した商品を3つ紹介します。
それぞれにメリット・デメリットがあるので自分が何を重視するのかをよく考えて決めるのがよいでしょう。また、投資をするうえで「不安に感じるもの・よくわからないものには手を出さない」のが無難です。
★個人向け国債
国債は1万円から購入可能で購入金額に上限はありません。発行から1年経過すれば、額面1万円単位でいつでも中途換金が可能です。ソフトバンク社債は100万円以上からしか購入できないので、それに比べると購入しやすいですね。
国が発行している債券なので、日本国がデフォルトにならない限り元本が保証されます。

★私募債
ソフトバンクの社債(公募債)は不特定多数の投資家に販売されますが、私募債は特定の少数の投資家に販売される社債です。特定の証券会社などで購入可能です。
私自身は Siiibo証券(シーボ証券) を利用しています。Siiibo証券で取り扱っている私募債は、金利2~7%・期間2~3年・1口あたり100万円程度の商品が多いです。
※発行体企業の経営が悪化したり、倒産した場合、利息や元本の支払いが滞るリスクがあります
Siiibo証券の口座開設には、金融資産額1000万円以上、投資経験1年以上という条件があるため、ある程度の資産と投資経験が必要です。
口座開設する場合は、ハピタスなどのポイントサイト経由か、紹介プログラムを利用するのがお得です。
・ハピタス:新規口座開設+50万円以上の社債購で2万ポイント(2025年4月時点)
>>Siiibo証券
・Siiibo証券の紹介プログラム
>>紹介プログラムURL ←私の紹介URLです。ここから登録して口座開設&債券購入するとお互いに1万円がもらえます。
★ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)は『お金を借りたい企業』と『企業にお金を貸してそのリターンとして分配を得たい投資家』を結びつけるサービスです。
利息を受け取り、満期になれば元本が戻ってくる点では、定期預金や債券と似ていますが、途中売却はできず、サービス提供会社や融資先企業が倒産した場合、元本割れのリスクがあります。
こうしたリスクを極力抑えたい場合、利回りは低めですが「Funds(ファンズ)」が比較的安心して利用できると思います。

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